◆フランスでの結婚式◆
　−チュニジア／フランス旅行 備忘録(3)−

　今回の旅行は、妻の元同僚の結婚式に参加することがきっかけで始まった。それに他の、チュニジアやパリ観光、TDF最終日観戦などのオプションを付けた格好だ。

　7月24日、その日がやってきた。
　朝5:00に起床、6:00にホテルを出て、7:00にパリ東駅に着く。新婦バレリーの旧友、セドリックとデルフィと落ち合う。この二人のフランス人はバレリーと一緒に日本留学をしていた仲で、日本語をかなり話せる。もう一人、セドリックの恋人オランダ人のトーマスも一緒。彼はオランダ語と英語のみだ。結局五人共通の用語は英語となるけど、私の英語力が一番低い。スピードと難しい会話に着いていくのが困難。
　7:49発の列車に乗り、10:00前にBar-le-Ducという田舎町に着く。そこの駅前のホテルにチェックイン。
　出迎えは13:00過ぎなので時間がある。家内と周囲を散歩する。水の多い綺麗で静かな街。とても気持ちが良い。パリの喧噪はなく、黒人や東洋人の姿がとても少ない街だ。

　13:00にホテルのロビーに行き出迎えを待つ。現れたのは花婿のブルーノ本人でびっくりする。忙しいのにいいのだろうか…。大恐縮。3km、5分ほど車に乗り、小さな町（村?）Savonnieres Devant Barに着く。案内されたのは一軒家。
　立派な石造りの家、手入れされた広い広い庭。大きな池もある。日本のガーデン式でのパーティをするような場所と同じような感じだが、さらに立派だ。庭の広さは100m四方以上。明治記念館より大きい感じだ。シトロエンのクラッシクカーがこれ見よがしに置かれている。立派な結婚式場だな、と思ったらさにあらず。これは新婦バレリーのお婆さんの実家だという。ここいらは土地も安く、200万円ぐらいで手に入るという。いくらなんでも200万円はないのではないか。どちらにしろ呆然。
　この立派な庭で一次会的な立食パーティをするらしい。

　14:00になり、歩いて2分ほどのシティホールに向かう。ここで婚姻届の提出だ。ただ、単なる提出ではなく、ちょっとしたセレモニーがある。これは15分ぐらいで終了。そしてシティホール前で記念撮影。次は教会なのだが、まだ準備ができていないようで、ここで30分ほど立ち話。新郎新婦もその両親も全員で立ち話でのご歓談。それも飲み物、食べ物なし。
　15:00。またまた歩いて2分の教会に移り、教会での結婚式。厳かではあるけれど、日本での教会の式とは異なり形式張った感じがしない。祈りがあったり、新郎新婦の誓いがあり、賛美歌の斉唱がある。最後に皆で、なぜか英語の歌"Oh Happy Day"を歌って終わり。ライスシャワーも終わり、バレリーのお婆さんの家に戻る。

　そして16:30、立食でのガーデンパーティが始まる。出席者は150人ぐらいかな。ワイン、シャンペン、カナッペなどの軽食で歓談。フランス語を喋れない私たち日本人夫妻を皆とても気にしてくれる。こっちもちょっと酔いが入って身振り手振り、ボディランゲージで会話を楽しむ。これが延々続く。
　サマータイムだし、緯度も高いので日も長い。21:00、陽も沈みかけたころ、ガーデンパーティはお開きになる。少し庭で待った後、歩いて5分の市のセレモニーホールに移り、フルコースの披露宴開始。セレモニーホールといっても、ちょっと広めで立派な公民館という感じだ。それを色紙や紙テープ、風船など手作りで飾り付けをしている。舞台があり、そこにはPA担当というかDJというような人が二人いる。
　食事はとてもゆっくり出てくる。カモ肉のサラダ、魚介のソテー、ライムのシャーベットが出たあと一休み。舞台の前の空いたスペースでダンス開始。ここでかかったのは社交ダンスのような感じで、男女ペアになって踊る。老夫婦がきりっとしたジルバを踊ったりして、むちゃくちゃ格好良い。

　さらに、二人のなりそめを紹介するビデオ、といっても音つきのPowerPointのスライドショーが流れる。
　23:00過ぎ、メインディッシュのローストビーフ、チーズのサラダと続く。ここでまた大休止。手品のショー、次は新郎新婦が相合い傘で踊るところに紙テープを皆で投げかけるイベントと続く。
　2:00少し前から、イチゴとアイスクリーム、そしてケーキのデザート。と同時に、ディスコミュージックで皆で踊り出す。「もう、2:00ですよ、皆さん」と言いたいが、言えるわけないし、フランス語は喋れれない。ふー。年輩の方も皆残っていて楽しんでいるようだけど、、、皆疲労の色がにじむ。
　もう朝起きてから21時間以上経っている。ホテルに帰って眠りたいけど、ホテルまでの足がない。タクシーなんかないし、道も分からない。式が終わって送ってもらう選択肢しかないのだ。

　ついに披露宴が一応終わったのが3:00。オランダ人のトーマスもスコットランド人のジムも、ここまで式が長いとは思っていなかったようだ。でも、今日の式は年輩の出席者が多かったから、これでも早く終わったほうらしい。パリなどでレストランを貸し切ってやる場合は、それこそ本当に朝まで続くらしい。
　バレリーの妹にホテルまで送ってもらい、部屋に入ったのが3:15。クーラーなしで窓を開けていたためか、部屋は蚊でいっぱい。寝てるときに刺されるのも嫌だし、羽音で起こされたり、痒くなるのが嫌なので必死に退治する。といっても道具は自分の手だけだ。10匹ぐらい退治したかな。妻は気にせず早々に寝入っている。あれやこれやで眠ったのは4:00。

　楽しくも強烈にくたびれた一日だった。フランスで結婚式に出席するなんて、もう二度とないことだろう。かなり興味深い体験だったけど、とにかく長い、長かった。

＜結婚式の一日の写真はここ＞

<2004/09/29記述>