◆さらなる泥沼の予兆◆

　ニュースを見て唖然とすることはそれほど多くない。でも、この1カ月ほどの間に2回も、、、そう、2回もあった。
　一つは、イスラエルによるハマス指導者ヤシン師の暗殺。
　もう一つは、4月5日に起きたイラク駐留米軍による、シーア派強行派の宗教指導者ムクタダ・サドル師に対する直接的な攻撃。

　これらが引き起こすことを、イスラエル、アメリカの政治中枢はどのように判断しているのだろうか。
　ちょっと考えれば、混沌と大きな紛争、さらに大きな不安定化や戦争に繋がるきっかけにしかならないのは明白だ。でも、アメリカの指導部がそれを望んでいるとは思えない。もしかしたらイスラエルもだ。
　そうだとしたら、状況分析をまったく誤っているとしか思えない。

　イラクはベトナム戦争と同じ泥沼に入りかけている。それはアメリカにとって不幸だろう。でも、イラクにとっては大きな悲劇である。そして、それが世界に波及する事ごとを考えれば、私たちにとっても決して良い方向ではない。

　このところの流れには、自然にわき起こる強い怒りを感じる。怒りの矛先ははっきりはしていない。ただ、その怒りの原因ははっきりしている。
　理不尽なことが行われてることに対する憤りよりも、自分の住む町や自分の身の回りの安全を乱されているというような感覚が原因だ。自分の住む世界をめちゃくちゃにされつつある、という実感なのだ。

　イラクにおけるアメリカ、イギリス、イタリア、スペイン、、、、そして日本の占領統治は失敗しつつある。この責任をとる国はない。
　一年後、五年後、十年後の世界はどうなっているのだろうか。不確定要素が多すぎて、まったく予想がつかない。

<2004/04/07記述>