◆程良く飲めない◆

　桜が散り始める春の日、古くからの友人と三人で飲む。
　私以外の二人は毎週会って飲んでいる間柄。でも私はちょっと離れている。仕事も場所も生活も、ちょっとパターンが違う。
　今日は朝練の日。ちょっと飲めば、疲れで目が潤んでくる感じで、酔いが回る。

　なぜか、そこそこ飲んでもメートルが上がらない。酔っぱらって、ああでもない、こうでもない、にはならない。「ぐわー！」っとした盛り上がりにはほど遠い。
　これは不本意なことだ。でもここから先は悪魔との取引の時。飲めば極楽、明日は地獄。今日は疲れもあって、極楽に達するような飲み過ぎと酔い、盛り上がりには行き着かない。

　こんなのが一人居れば周りも盛り上がりに欠けてしまう。22:00過ぎにはお開きになり、次の店はパス。今にも降り出しそうな空模様の中、酔っているけど欲求不満で帰る。酔いが回りきってハイになり、しゃべりまくって騒ぎ、タクシーで帰ればその日は満足だが、そうはならなかった。悲しいけどこれが現実。

　もう程良く楽しく酔うことは、ほとんどできない。飲み過ぎて辛い二日酔いと体調不良で過ごすか、中庸に欲求不満で八分の酔いで帰るしかない。
　飲酒歓談は人生の中でも最大の楽しみの一つだったけど、その日々も去りつつある。

<2004/04/02記述>