◆カメラを盗まれる◆
　−ネパール2004備忘録(9)−

　旅行前、新しいデジカメを購入した。カシオのExilim EX-Z4。100gちょっとと小型だ。
　ただ充電器までは持って行かず、予備として古いデジカメFinePix700も持って行った。最終日の前日、Exilimは電池切れになり、そこから古いデジカメが活躍した。

　最終日、あとは帰国するため空港に行くだけとなり、荷物のパッキングを行う。二人分の荷物のほとんどを私のバッグに詰め込んだ。厚手のナイロン製の大きな黒いバッグで、ジッパーの金具に鍵をかけることができる。この15年、海外旅行はすべてこれを使っている。
　とにかく手に持つ機内持ち込みの荷物は軽くしたい。いろいろなモノをバッグに詰め込む。デジカメももう使わない。新しいデジカメは電池切れだし、古いデジカメもほとんど電池が切れかけている。さらに空港は撮影禁止。だったらデジカメもと詰めてしまおう。

　新しいほうは軽いので、ナップザックに入れて機内持ち込みにした。古いほうは、ショックがあってもだいじょうぶなように衣類などで包み、さらに家内の化粧道具などを入れた布製のバッグに入れた上で、大きなバッグの中ほどに入れた。
　空港のカウンターで荷物を預け、、、それを、受け取ったのは関空の荷物受け取り用コンベアーだ。その後、はじめての経験なのだが通関するとき税関職員から、バッグの中身をチェックされた。バッグを開けるとき、鍵をかけたチャックの金具の位置が、ジッパーの端のほうに寄っていることに気付いた。ただその時は、バッグの口が開くのを待っている税関職員が居たので特に気にすることもなかった。

　自宅に帰って荷物の片づけ、整理しているときに初めて気付く。妻の化粧道具入れの中に入れていたはずのデジカメがない！ 化粧道具の布製バッグ自体はちゃんと残っているし、口もしまっていた。中も荒らされていない。カメラだけがなくなっている。

　関空で盗まれた可能性はゼロだ。だとしたらネパールの空港でやられたのだ。
　旅行バッグ本体には鍵をしてあった。どうやって開けたのだろうか？ よく見てみるとジッパーが交互に咬み合っている部分の一部、端のほうが一部開いている。強引にジッパーを開け広げてたのだ。カメラの入ったバッグを取り出し、カメラだけを抜いて化粧バッグは中に戻した。さらにジッパーの金具を動かし広がった部分のほとんどを締めた。それで通関の時、金具の位置がずれていたのだ。

　しかしまだ疑問が残る。どうやって旅行バッグの奥底の化粧バッグの中のカメラを見つけ出せたのだろう。普通に探したらかなりの時間がかかる。
　これは推測だが、危険物検知のX線装置を使ったのだと思う。そうでなければ短時間で、大きなバッグの中にある多くの荷物の中、その一つの小さな化粧品バッグの中のショック吸収の布で覆ったカメラを見つけることは不可能だ。

　カトマンズ国際空港では、カウンターで預ける荷物は、空港に入る時点でX線装置を通す。それ以後荷物の出し入れができないようにビニールの平たい紐で縛られる。その後、チェックインの時にカウンターで預ける。
　ここから先は見えないので推測だ。預けられた荷物はカウンターの裏手で、飛行機に積むコンテナに入れられる前に、もう1回X線装置に通されるのだと思う。そこが犯行現場だ。
　カトマンズ空港のセキュリティは、すべて軍人がやっている。X線検査もそうだし、1つの機械を担当してる係官は3〜4人はいる。つまり彼らが仕事の道具を使って効率よく貴重品を盗んでいるのだと思う。

　幸いなことに撮り終わったデータが入ったメモリーカードは抜いておいたので、撮った写真はなくならなかった。でも、古いとは言えまだまだ使えるデジカメを、盗まれるというかたちで失ったのは、悲しいし不愉快だ。
　ネパール、カトマンズでは比較的、軍人、警官、役人などの質は悪くないと思っていたのだが、それは幻想だったのだろう。もしくは、この数年でモラルが悪化したのかな。

　まぁ、ヒースロー空港でもこの手の盗難が多発した話も聞いたことがある。ネパールだけの話ではないのだろう。
　旅行では、盗難や犯罪被害に遭わないようにいつも気にしているし、今まではだいじょうぶだった。こういうかたちで物を盗まれたのは初めてだが、甘かったのだろう。
　とにかく今後はさらに気を付けなくては……。

<2004/03/05記述>